着物のコーディネート 困った時の白と黒

ある着物作家の先生に言われたことがあります。
同じコーディネートを2度しないのが、自分のおしゃれだと思ってると…

これ、かなり難しいです。

着物を求めるとき、帯も小物も全部合わせてみて、ベストと思ったものをと決めています。
もちろん、トレードはしながら着物を楽しんではいますが、一番お気に入りなのは、これ!
っていう組み合わせってあるんです。

それをですね、2度としないと言われると、うーんってうなっちゃいます。
その作家先生は男性だったからかもしれません。
女性は、お気に入りは大好きですもんね。

ただ、その話を聞いてからは、帯揚を変えたり、帯締めや帯留を変えたりと、連続で同じコーディネートはしないようにしています。
安全牌な組合せは、考える必要もなくて楽ちんですが、たまには攻めのコーディネートに挑戦してみると、小さくまとまらないおしゃれが楽しめるようにも思えます。

私は仕事柄、自分だけでなく、他人様の着物のコーディネートもします。
その人にあったものを選ぶのは楽しいです。雰囲気、色、柄、そして価格。全てが納得できるものでないとコーディネートは完成しません。

それと、コーディネートをするときにもうひとつ大事な要素が顔写りです。

布を肩に置いただけなのに、その方の顔色がパァーっと明るくなる色があります。
逆に、肩にのせると、その方の顔色が暗く見える色もあるんです。
その人を最大限に美しく見せるコーディネートが完成すると、その方の顔もニコニコしてきてこちらも嬉しくなります。
コーディネートが完成したら、その後はご縁です。
ご縁があれば、その着物はその方の物になるでしょうし、ご縁がなければそうならないだけのことだと思ってます。

着物のおすすめコーディネート

「先生、何にでも合う帯ってどんなのですか?」
そんな質問をよく受けます。
オールマイティーにどんな着物にでも締められる帯はありません。
理由は、格や素材も合わせなければいけないからです。

ですが、格や素材を合わせたうえで、合わせやすい帯ならあります。
困った時の、白地か黒地。私たちがよく使う言葉です。
白地と黒地の帯は、どんな色の着物にも合わせやすいです。
数をたくさん持てるなら、いろんな色を持つといいと思いますが、
最初の1本だったり、厳選した1本だったりするのなら、
白地か黒地の帯をお勧めします。

白と黒、一本だったらどっちがいいの?
それも聞かれます。
だれだって、よりいい方がいいですよね。

ですが、そこの答えは決まってます。
「好みかな」
アバウトですが、好きな方がよりいい方になります。

同じ着物に、白地と黒地の帯を合わせてみます。
お稽古用の着物に、お稽古用の帯で組み合わせをしてみました。

白地の帯

白地帯 (2)

違和感なく決まります。
おとなしめな印象です。

黒地の帯

黒地帯 (3)

こちらもサクッと決まります。
かっこよさも感じられるコーデになります。

帯揚、帯締めなしですが、
種類の違う白地帯です。

白地帯 (1)

柄には少し違和感を感じますので、ベストコーデではないです。
色は合ってるけど、柄がねってこと、割とあります。

こちらは種類の違う黒地帯です。

黒地帯 (4)

これもはまります。
少し帯が重たい感じもしますが…

こんなふうに、黒地か白地の帯はコーディネートしやすい帯です。
オーソドックスな柄であれば、そんなに着物も選びません。
攻めたコーデではありませんが、失敗は少ないと思います。

一昔前には、オレンジやグリーンの地色が流行りました。
帯地に色を使わずモノトーンの組み合わせにするのは、やや今風です。

「着物だったら、なんでもいい」もいいですが、
どうせ着るなら、ステキに着てほしいなと思う着物好きの独り言でした。

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