村山大島は大島に似ていますが奄美大島や鹿児島の大島とは違います。

この記事の目次

大島と言えば知らない人はいないと言われるくらい織の着物の中でも有名な着物です。
現在の大島は紬糸ではなく生糸が使われているので、ここでは大島紬と言わず、「大島」と表現させて頂きます。
この大島にとてもよく似ている織物があります。
それが村山大島です。

村山大島は東京都武蔵村山市を中心に織られていて、奄美大島の大島紬に似ていることから、「大島」の名がつけられ広がっていったと言われています。

大島が昔紬糸が使われていた時代があったように、村山大島にも緯糸に玉繭から引いた玉糸が使われていたことがありましたが、現在は径緯糸ともに生糸が使われています。

村山大島の工程と技法

村山大島と大島は似ていますが、その技法は異なります。
村山大島の絣糸は「板締め」と「すり込み捺染」を併用してつくります。
その技法について説明していきます。

村山大島の絣糸

板締め
織物専用の方眼紙に板図案を描き、これを元に板図案を作ります。板締めに使う板はくるいの少ない水目(みずめ)桜です。樹齢が70~100年以上のものが使われます。その板に溝を彫っていきます。
同じ型を2枚作りますがもう一枚の型の裏には次の模様の溝を彫り連続させます。
絣板の間に糸を挟んで積み上げていき、重ねた板をボルトで締めてから染料を注ぐと、溝を彫った部分に染料が入って染まります。彫っていない部分は凸になり染まらずに残ります。
板締めでは一色しか染めることが出来ないため、さらに色を重ねる場合は「すり込み捺染」で別色をすり込みます。

すり込み捺染
板締めで染めた絣糸を束の状態で長く延ばし、ところどころひもで縛ります。染料液は竹や木製のヘラに含ませ、図案に合わせて染料をすり込みます。

村山大島の製作工程

1.絣板制作 板締めで絣糸を作ります。
2.精錬加工 セリシンなどの不純物を取り除きます。
3.地染め 地糸を染めます。
4.整経 経糸と緯糸布を織るのに必要な長さや本数そろえます。
5.板巻き 経糸を絣板一枚一枚に巻き付けます。
6.板積み 糸をまいた板を積み重ねます。
7.板締め染色 板ではさんだ糸に染料をかけて染めます。
8.すり込み捺染 竹や木製のヘラで染料をすり込みます。
9.機巻き 経糸を地糸と一緒に1本ずつ筬(おさ)通しをして巻き上げます。
10.製織  経絣糸に緯絣糸を合わせて織ります。

村山大島は江戸末期までは木綿絣として織られていましたが大正初期には絹織物に変わり量産化が進みます。当時は安価で人気がありましたが、現在は年々高価になっています。
ひとつの柄に経緯合わせて150枚ほどの絣板を使い、柄が大きくなると使用する枚数も多くなります。手仕事ということを考えれば納得できます。

村山大島と大島の違い

村山大島です。
色が上下右左につながっています。

大島です。
絣が、アルファベットのTや十字になります。

村山大島と大島は産地や技法が違う全く別物です。
自分がもっている着物が何なのかを知って楽しく装うことが大事だと思います。

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