高機 手織機の構造

前回の記事で、手織機のことを書きました。
その中で、地機について書きましたので、この記事ではもう一つの手織機である高機(たかはた)について詳しく書いていこうと思います。

高機は、絹機ともいわれました。
その理由としては、昔は木綿や麻を織るのに地機が使われ、高機は絹織物を織るのに用いられていた為です。
現在は地機も高機も絹織物を織る手織機になっていますが、使う糸の素材によって織機も分けられていた時代もあったということです。

織機は原始的な物ではありますが、多くのパーツが組み合わされ成り立っています。動きは単純ですが、パーツの組み合わせはとても複雑に思えます。

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織機の構造

綜絖(そうこう)
経糸を上下に開口する為のものです。
織物には経糸と緯糸があります。緯糸を通す場所を杼道(ひどう)といい、綜絖はこの杼道を作る道具です。
地機などの手織機には糸製の綜絖が、力織機には主に金属製のものが使われていましたが、現在は手織機にも金属製の綜絖が使われています。

糸の通し方や、枚数によって色々な模様を織る織機が出来ます。

筬(おさ)
竹製や金属製があります。薄い羽が細く均等に並んでいて、そこに経糸を一本ずつ、または数本ずつ通していきます。
目的は織物の幅を整える、経糸を均一に配列する、経糸を打ちこみやすくするなどのためです。

杼(ひ)
緯糸を通すときに使う道具です。
形は舟形でまん中の部分に緯糸が巻かれています。綜絖により上下に別れた経糸の間を左右に滑らせるように織り込んでいきます。
硬い木で出来ています。

ろくろ
滑車です。織機の上部に配置され綜絖枠を支えています。
綜絖を上下するための滑車の役割も兼ねています。

千巻き(ちまき)
布巻きのことです。経糸の片端を固定して織上がった布を巻き取ります。

緒巻き(おまき)
「ちきり」ともいわれます。
織る前の経糸を巻いておきます。経糸が重ならないように、また緩まないようにきっちりときれいに巻いておきます。
歯車で押えて、織るごとに少しずつ経糸を送る役目もします。

踏木(ふみき)
踏木は綜絖枠と直結しています。そのため踏木を踏むと綜絖が動きます。
綜絖が動くことにより、経糸が上下に動きます。

踏み木を踏んで綜絖を動かし、経糸を上下に開口させて杼道をつくり、そこに杼にセットした緯糸を通して筬で打ちこみます。
織り上がった布を少しずつ千巻きで巻きとります。

その繰り返しで織物が出来上がって行きます。
設計図によって染められた糸を、設計図通りに織るには熟練された技術力が必要とされます。
一日に数センチしか織ることのできない、細かく複雑な柄もあります。

見れば見るほど、知れば知るほど織物、特に紬の魅力にはまってしまいます。
仕立て上がった紬に袖を通した時、あんなに暖かさを感じるのは、作り手の気持ちがこもっているからなのだろうと思います。

機会があれば本物を身にまとってみてください。
意味もなく顔から笑みがこぼれるかもしれません。

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