型染めの着物 紅型(びんがた)

あまりにも有名な紅型、私も大好きな染です。
とても高価なものですが、その価値は十二分にあります。

紅型は琉球王府の保護のもと発達してきた染物です。
琉球王府、首里、浦添を中心に女性の礼装として着られ、また神事に関する古式の服装として染められたのがおこりだといわれています。
色にも決まりやこだわりがあり、黄色は王族婦人の礼装、水色・浅地は日常着とされていました。

沖縄観光で集合写真を撮ると、一緒に紅型の衣装を着た女性が並んでくれます。
色は黄色と記憶しています。高貴な色ですね。
私たちが着る着物とは形の違ったものです。琉球紅型の華やかな色使いは暑さを吹っ飛ばしてくれるような感じがします。

沖縄に旅行するとお土産物屋さんで興味をそそられるのが琉球ガラスと織物です。
バックやポーチ、ティッシュケースやペンケースなどなどの小物もたくさん並んでいてカラフルで楽しい気分になります。

紅型の型紙は基本的には1枚です。
他の多彩な型染め、例えば型友禅などが色の数だけ型紙を要するのに比べると型紙1枚だけで染められる紅型は簡単なものと思ってしまいそうですが、実はそうではありません。

型紙で糊置きをしたあと小刷毛で色挿しします。
色挿しは、下塗り、上塗り、隈摂りの3回です。下塗りには顔料が上塗りには植物染料が用いられます。
下塗りでは顔料を用い派手目な色で染め、上塗りの植物染料でけばけばしさを抑えやわらかさを出します。さらに隈取で模様にアクセントをつけると同時に立体感を出します。

顔料は衣類ではなく絵画に使われるもので、水や油に不溶のものです不透明です。一般的に多くつかわれる染料は水や油に溶けるもので透明です。染料ではなく顔料を使うところも紅型の大きな特徴ですから、染の技術にも相当な技が必要となってくることも想像できます。

紅型の染色工程

1.図案
紅型の図案の制作は、すべての行程に精通していないとできないと言われています。
この図案の制作が一番難易度の高い工程で、作品の出来を左右します。

2.型紙彫刻
型紙に使われる紙は奉書紙です。この奉書紙に渋を引いたものを用いて型彫りします。
2枚の型紙を重ねて突き彫りされます。突き彫りは引き彫りとくらべ相当な時間がかかります。

3.紗張り
型紙に紗を張って補強します。

4.地張り
長板の上に生地をはります。
まっすぐ張れなかったりすると、柄がずれたりするので、繊維がまっすぐになるようにはっていきます。

5.型置き
生地の上に型紙を置きヘラで防染糊を塗ります。
柄のズレ、柄つぶしは取り返しがつきません。糊の配合一つで出来上がりに影響するので大変な作業となってます。

6.地入れ
生地に刷毛で豆汁を引きます。豆汁には、にじみ止めとなる卵白質系のものを加えます。
生地にタンパク質が付着、顔料の定着を促すことができます。

7.色挿し
模様の部分に刷毛や筆で色を入れます。

8.糊伏せ
色挿しをした部分の上に防染糊を置いて伏せます。

9.地染
地の部分に引き染や浸染をします。

10.蒸し
地色を定着させる為の作業です。この工程により、昔の紅型よりは柄色の落ちが少なくなりました。
霧状になった水蒸気で蒸箱内は100度以上になるそうです。

11水元
糊を洗い落します。

沖縄にはまだまだ沢山の織物があり、どれもとてもステキです。
紅型が残ってきたのもたくさんの織物があり「沖縄の織物」が栄えてきたからであると言われています。
沖縄の織物については、またの機会に紹介していこうと思います。

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