着物ができるまで 

着物は高いと世間一般では思われています。
私たちのおばあさんやひいおばあさんの時代は着物で生活している人がたくさんいました。
もっとそれ以前になりますと、洋服などない時代がありましたから日本人は着物で生活をしていて着物は日常着でした。

日常着ですから、女性は着物で洗濯をし、掃除、炊事をし、子育ても縫いものも家事全般を着物でしていました。
今では考えられないですね。着物を着ると身のこなしが多少不自由に感じられることも多いです。
着物はお出かけや大事な行事の時に着るもので日常着ではないというのが現在の着物の立ち位置になっています。

私は仕事柄、着物で掃除もしますし洗いものもします。
重たいものを運んだり、荷造りや、事務もします。もちろんパソコンも使います。
高い作業着だと皆で話をすることもしばしばです。

着物には織の着物と染のきものがあり、それぞれの製造工程が違います。
始めて知識としての着物の行程に触れた時は、まったく覚えられませんでしたが興味は非常に持てました。
今はよく理解できるようになりましたが、知れば知るほどより深くどっぷりと着物の魅力にはまってしまってます。

織の着物の代表は紬です。
その中でも一番は、紬の王様と言われる結城紬です。
私は関西在住ですので、織の着物というとやはり大島なのですが、大島は紬糸は使わずに生糸を使いますから紬とは違います。
紬とそうでない織の着物の違いは、節があるかどうかです。
紬糸は手で紡いだ糸なので、節ができます。その節が紬の特徴の一つです。

着物の素材は天然繊維、植物繊維、動物繊維、化学繊維が使われますが、着物の素材として良く知られているものはやはり絹です。私も絹の着物が好きです。
あの風合いは他の繊維と比べてもとても魅力的です。

かいこのまゆからとれる唯一の天然長繊維の絹を使った絹織物は着物の最高の素材だと思います。

絹の着物ができるまで

絹の着物が出来るまでには長い、長い行程を要します。

絹糸の元になる繭を作ってくれる蚕がいなければいけません。
蚕が育つためには、蚕が食べる桑の葉が必要です。
自然に育っている蚕もいますが、蚕は養蚕もされています。

少し前のテレビで、美智子皇后さまが養蚕をしていらっしゃるのを拝見しました。
代々受け継がれているものですが、一度はなくなりかけたのを美智子さまが継続されたそうです。

宮中には御養蚕所というお蚕さんを育てる場所がありそこで皇后さまが養蚕をされる、皇后御親蚕では小石丸(こいしまる)という品種の蚕が育てられます。
これは普通の繭より、一回り小さい繭で非常に細く上質の糸がとれますが、育てるのがむずかしく量産できない貴重な糸がとれます。

蚕は桑の葉を食べて脱皮し、そのたびに大きくなります。
通常4回脱皮して糸を吐き繭(まゆ)を作ります。

品種改良によって3回脱皮して繭を作る蚕がいます。通常より細い上質な糸ができます。
糸が細いと軽くて染まりやすく、またしわになりにくい生地になります。
これを、三眠蚕(さんみんさん)と呼びます。
三眠蚕(さんみんさん)でつくられたものはとても軽いです。

紬の産地の方々は、蚕のことを「お蚕さん」と呼びます。
とても大事にしています。
繭の中の蚕の姿の話を聞いた時はとても興味深かったです。このお話はまた書きます。

お蚕さんがどのようにして繭を作るのか、そのあたりのお話しを次の記事では書かせて頂こうと思います。

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