型染のきもの

型紙を用いて白生地に文様を染めることを型染めと言います。
型紙の他に版木を用いて染めるものもあり、こちらもやはり型染めになります。
手で描くのが手描染、型紙を使うのが型染ですが、型染めにもいろいろ種類があります。

型紙捺染
捺染はなっせん、又はなせんと読みますが私は後者のなせんと習いました。
捺染は、糊に染料をまぜ、直接布地に摺(す)り付けて染色することで、特に型を用いた模様染めのです。

摺り染
生地の上に型紙を置き染料を丸刷毛で摺り込む、または版木に染料をつけて生地に摺りつけます。

板締
文様を彫った板の間に生地を挟んで染めます。

ローラー捺染
金属製の円筒に文様を彫りそのローラーを回転させて染めます。

スクリーン捺染
枠に貼った金網や紗の上に型をはりつけたものを使い色糊で染めます。

型染めをする場合、染料は糊に混ぜます。
型糊といわれる防染糊はもち米と米こうじを主に使い、これに合成染料をまぜたものが色糊です。
生地の上に型紙を置き色糊をヘラでつけていきます。

伊勢型紙について

型染めに使われる型紙は伊勢型です。三重県の鈴鹿市が生産地で、この伊勢型多種多様に使われています。

伊勢型に使用する地紙は美濃紙に柿渋を摺り込んだものを縦横交互に三枚はりあわせます。
その上から更に柿渋を塗り乾かして作ります。

地紙が出来たらそこに彫刻刀で穴を開けていきます。
引彫(ひきぼり)、突彫(つきぼり)、道具彫(どうぐぼり)、錐彫(きりぼり)などが型彫技法の良くつかわれる技法です。

型彫に使われる彫刻刀は特殊な物で、刃先は非常に細かく作るのも容易ではありません。

型染めは型がなくては染めることが出来ません。
型紙は彫刻刀がなければ作ることができません。
どの技術も伝統工芸にありがちな後継者不足に不安があります。

実際、彫刻刀も永久に使えるものではありませんし、型紙も繰り返し使えば使用不可能になります。
今はある型染めが将来的にはなくなるかもしれないものであると聞きました。
私は伝統工芸品の作り手ではありませんし、作ることは到底無理ですが、せめて伝統工芸品を身につけることで伝統の継承をしていきたいと思っています。

伝統工程品はなにも着物だけではありません。少し視野を広げれば身の回りに案外あります。
値段を考えれば少し高価だと思うのは事実です。
ですが、そこに携わっているたくさんの人や物のことを考えればその価値は十分にあるものばかりです。

型染は古くは奈良時代から続く技法です。江戸時代には武士の裃(かみしも)が型染で染められました。時を同じくして浴衣が流行し中型染が広まります。
裃の小紋柄は江戸小紋として、浴衣は染の技法が多種多様になって若い方にも人気の夏ファッションになっています。

次回は型紙を用いて染める型染めの種類について書かせて頂きます。

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