洋服のセンスはいいけれど、着物のセンスだと自信がないおっしゃる方がけっこういらっしゃいます。
教室の生徒さんの中からも、着物はわからないとよく聞きます。
お洋服を買う時、自分の好みで選びます。
店員さんのアドバイスを参考にします。
どちらもあると思います。
着物も同じです。
自分の好みで選びます。
アドバイスを参考に選びます。
どちらでもいいと思います。
きものと洋服のコーディネートの大きな違いは、着物には格があるという点です。
洋服は、自由に、好きに合わせても大丈夫ですが、着物の場合は格が合ってないとかなり具合が悪いです。
色はピッタリ、雰囲気もばっちりな着物と帯の組み合わせでも、格が合っていなければ、コーディネートは失敗ということになってしまいます。
極端な例をあげますと、紬に金糸銀糸の折り込まれた袋帯はおかしいです。訪問着に趣味的な名古屋帯は締めません。
また、洋柄と古典柄はちぐはぐな印象を受けます。
これは名古屋帯ですが、金糸も入ってるし、趣味的な帯ではありませんが、名古屋帯なので訪問着にはしめません。
といった具合です。
名古屋帯でも礼装用に使えるものがあります。留袖や訪問着にもしめられる帯です。
それは、爪織綴(つめおりつづれ)の帯です。
緞帳やお相撲さんの化粧廻などにも使われます。
偽物というわけではなく、爪織綴れではない綴れの帯もあります。
爪織綴とそうでない綴れの見分け方は言葉にするにはちょっとむずかしいですが、柄の境目にあるはつり孔(はつりめ)といわれる穴というか細かい空間というか、色と色との間をよく見るとそれが見えます。
爪織綴の特徴です。
商品として店頭に並んでいるものであれば、西陣織工業組合が発行している爪掻本綴の証紙が貼られていますのでわかりやすいです。帯に仕立ててしまうと証紙とはなれ離れになってしまいますから、わかりにくい場合もありますね。
ややこしいのですが、爪織綴であっても趣味的な柄や、洒落た感じの柄だと礼装には締められません。
こんな話をすると、「わかりませんー」となってしまいます。
教室に通って下さってる生徒さんでしたら、持って来て見せて頂くとよくわかるのですが、最近携帯電話でとった写真で見て下さいとおっしゃる方もいらっしゃって、
うーんと唸ってしまいます。
写真ではよくわからない部分もあるんです。
細かいニュアンスだったり、生地の質感だったり、使われてる素材だったりがそのまま写らないことがあるので、自信を持ってこうですよって言うことができません。
着物のコーディネートで一番大切なので格です。
そこがお洋服との一番大きな違いです。
格をしっかり合わせたうえで、色や文様や季節感の調和がきっちりできれば、着物の上級者ということになるんでしょうが、そこは楽しんで着て下さったらいいかなと思います。
堅苦しいことは考えずに、間違ってたら間違っててもいいんじゃないって許してくれる心の広い人が増えたらいいのにと思います。
着物を着る人が増えてくれるといいなあ、と同時に、寛容な人が増えてくれるといいなあと思ったりするのです。