文様の歴史 日本の着物の文様には、渡来のものもあります。

この記事の目次

飛鳥時代

仏教が日本に渡来した時代です。飛鳥時代の文様は仏教美術の影響を受けています。
飛鳥時代につくられて、世界最古の木造建築として知られている法隆寺の仏像や伽藍にもこの時代の文様が見られます。

仁王像(左)

ギリシャや西アジアで好まれた忍冬文(にんとうもん)は、飛鳥時代の美術工芸に頻繁に用いられている文様です。その他にも仏教徒の影響を受けた文様、西方文化の影響を受けた文様があります。狩猟文(しゅりょうもん)や蓮花文(れんげもん)、雲文(うんもん)などがそれらにあたります。

仏教は、インド発祥ということを考えれば、飛鳥時代の文様が渡来色が濃いのも納得できます。
唐草模様は着物の柄というよりは、風呂敷などを連想してしまいますが、今でも残る歴史ある柄なんですね。

奈良時代

中国、唐と交流のあった時代です。シルクロードを通じて西方文化が入ってきたため、文様の種類が増えたのも奈良時代です。

奈良・平安時代の重要物品を納める東大寺の正倉院は、校倉造(あぜくらづくり)の大規模な高床式倉庫です。その正倉院の御物に見られる文様は、次のように分類されてます。

幾何構成文(きかこうせいもん)、天象文(てんしょうもん)、自然文、植物文、動物文、空想的植物文(くうそうてきしょくぶつもん)、空想的動物文、人物文、生活財文、です。
急激に文様が増えた時代だけに、文様の種類も豊富です。

分類された文様には下記のようなものがあります。

幾何構成文:亀甲、菱、縞、三角、石畳等
天象文:雲、霞、月など
自然文:流水、山水、岩石など
植物文:葡萄、牡丹、果実、蔦など
動物文:鹿、鳥、蝶、魚など
空想的植物文:唐草、宝相華(ほうそうげ)など
空想的動物文:鳳凰、竜、花喰い鳥、ペガサスなど
人物文:仙人、童子、天人など
生活財文:食器、楽器など

正倉院の御物の文様は、他にもたくさんあります。
奈良時代にはすでに、完成された組合せの文様が多くあり、美術的にも芸術的にも今の時代に引き継がれているものもまた多く残っています。

奈良時代の文様が基礎となり、そこから独自の文様が展開されていきました。

飛鳥時代、奈良時代共に世界的文化の影響を受けた時代です。
正倉院のことを習った学生時代には、さほど興味を持たなかった御物ですが、着物のこと、着物の歴史のことを勉強するうちに、見たい欲求が強くなりました。

正倉院の倉庫としての機能によって、遠い昔のものが、そのまま残されています。
そしてそれによって、私たちは文様の歴史を知ることが出来ています。

昔の文様が、今でも使われている着物なのに、古さを感じさせません。
古典柄と呼ばれる柄は、これからもそのデザインを変えずにずっと残っていくでしょう。
今でも、おしゃれでモダンで着物を引き立てる文様というものに、ものすごい神秘を感じます。

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