織の着物と染の着物。
最近はどちらかというと織が好きかなと思っていますが、例外もあります。
例外中の例外が「藍染」です。
伝統工芸品の染の着物の中で、私が一番好きな染です。
ジャパンブルーの名で国内だけではなく、海外にまで多く知られている藍染ですが、
着物の世界に身を置いていますから、やはり「きもの」として身につけたいなと思います。
以前行かせて頂いた、藍染の工房見学について書かせて頂きます。
伺ったのは京都の山科にある「雅織工房」さん
ここは、徳島の阿波藍製造技術無形文化財指定の佐藤昭人さんの製造されたすくもを使い、
天然灰汁発酵建ての技法で建てた藍の液をで染めを行っている本格的な藍染工房です。
まわりを見渡すと、自然いっぱいのとてもいいところで、
心身ともに癒されます。
工房の前にある看板をパシャリ
ここの工房、ご兄弟で運営されてます。
着物を見せて頂く時は、弟さんとお話しすることが多いのですが、この日の工房見学では社長であるお兄様が、いろいろ説明して下さいました。
伊勢神宮の式年遷宮の染を一手に任された工房ですから、お墨付きです。
式年遷宮について
式年遷宮は20年に一度宮地を改め、古例のままにご社殿やご神宝をはじめ全てを新しくして、大御神に神殿へお遷りいただく神宮最大のお祭りです。
その式年遷宮300年にわたり繰り返され、平成25年には62回目が古式のままに行われました。
その際の染を雅工房さんが担当されたのです。
式年遷宮の染を担当するに当たり、いろいろ決まりごとがあり、その一つに資料を全て残さなければいけないということがあるそうです。
そのため雅工房さんには、行程の最初から撮影した、何十巻にもわたるビデオが残されてます。
技法がわからなくならないように、前回染をした人がいなくなっても、その技法を再現できるような資料がきちんと残されているんですね。
その資料を見れば、他の誰かが再現できるようにするためだそうです。
式年遷宮、深いです。
20年に一度ですから、悲しいですが、前回の担当者がご存命でないことも考えられるのです。
全ての技術において、そうなのですから、壮大なプロジェクトなんだと改めて思います。
「お伊勢さん」が身近になったような、さらに手の届かないものになったような、なんだか複雑な気持ちになりました。
映像のその一部を工房の2回で見せて頂きました。
あたりまえですが、全て手作業なんです。
ここまで、手間暇をかけた藍染が、また一段と好きになりました。
東京五輪のエンブレムも藍ですね。
日本人の肌を最も美しく見せる色とされています。
その藍を堪能してきたお話しや、藍染についてのお話しは、
何度かに分けて書かせて頂こうと思っています。