小紋と小紋の中で特別扱いされている着物について

着物を着る機会を考えると、以前と今とでは私自身少し変わってきたように思います。
以前は、結婚式や式典などフォーマルな着物こそが着る機会が多いと思ってました。特に普段あまり着物を着ない人が着物を着るなら結婚式とかだよねって思ってたんですが、最近はその考え方が少し変わってきました。

例えば結婚式は、招待されないと出席することは出来ません。自分自身でプロデュースするものではありませんから、受動的です。
ですが、着物を来てお出かけするとなると、プロデュースは自分自身です。

お買い物に行くのに着物を着ていく、お芝居を見に行くのに着物を着ていく、誰かと会うために着物を着て出かける。
そういう目的は自分自身で決めることができます。

それを考えると、いちばん着る機会が多いのは、フォーマルやセミフォーマルではなくて、実は盛装である小紋だったり、紬だったりするんじゃないかと考えるようになりました。

実際、生徒さんにもそういうお話をします。
紬か小紋かといえば、そこは好き好きや好みの問題になってきますが、金額で言えば紬よりも小紋の方がリーズナブルではないかと思います。

小紋と呼ばれる着物の種類はたくさんあります。
一反の反物の端から端まで模様が繰り返されるものが小紋です。
縞であったり、花柄であったり、幾何文様であったりと多種多様です。

その小紋の中で、独立しているといいますか、特別扱いされている小紋があります。
それは、江戸小紋と呼ばれているものです。

江戸小紋は、名前の通り江戸、つまり現在でいう東京で染められています。
春のうららの隅田川
の歌詞にあるように、以前は隅田川のまわりに江戸小紋の工房がたくさんあったそうです。
川の近くに工房があった理由は、以前は川で反物の水洗いをしたからなんですね。

現在は、水の汚染の関係で川で反物を水洗いすることはなくなりました。
大抵の工房には、反物を水洗い出来る施設が備わってます。

江戸小紋は、武士の裃の柄が着物の柄として残っています。

最もよく知られているのが鮫小紋です。

鮫小紋は紀州徳川家の定紋です。
各藩にはそれぞれの定紋があり、範以外の人が着ることは出来ませんでした。

御召十(おめしじゅう)は 徳川将軍)家、梅鉢(うめばち)は細川家、菊菱(きくびし)は前田家です。
五代将軍綱吉の松葉、 肥前鍋島家の胡麻、五代将軍綱吉の松葉、紀州大納言の極鮫、肥後細川家の梅鉢、肥前鍋島家の胡麻、土佐山内家の青海波 、信濃戸田家の通し、土佐山内家の青海波 、備後浅野家の霰小紋、甲斐武田家の武田菱、出雲佐々木高綱家の宇治川小紋、など数多くの定紋ががありました。

その定紋が小紋の柄として残っているのが江戸小紋です。
東京染小紋は、1974(昭和49)年5月25日に、経済産業大臣(けいざいざんぎょうだいじん)、から伝統的工芸品(でんとうこうげいひん)として指定されました。
帯によってフォーマルにも普段着にもなる江戸小紋は武士の裃由来の柄だけではなく、江戸のしゃれ文様や生活に密着したものもありファンの多い着物でもあります。

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