初絹は福を招き入れる縁起の良いものとされています。
着物の世界に身を置いてから数十年、毎年初衣を求めました。
決まって用意していたのが胴裏です。
胴裏一匹は着物3枚分の裏地です。
初めの頃求めていた胴裏は、一匹が一巻きになってました。
仕立てをする時、一匹を反物と一緒に仕立て屋さんに出すと、残りがかえってくるというシステムでした。
いつのころからでしょうか、一匹の胴裏は3等分されて袋に入っていて、それが箱に入っているものに変わりました。
今では胴裏は一枚ずつ袋に入っているものとの認識ですが、以前のことを思い出せば使い勝手は良くなったと思います。
その胴裏が初絹としては最もポピュラーですが、今年の初絹は長襦袢にしました。
鱗(うろこ)柄です。
うろこのある蛇が脱皮をすることから、厄を落とし再生するという意味があります。厄除けの文様です。
初絹ですから、特別な物にしました。
成人式が終わり、教室にも日常が戻りました。
毎年成人式は早朝から100人単位の振袖の着付けをします。
荷物を預かって準備するところから始まって、ヘアメイクのセッティング、着付けスペースのセッティング、名札づくりやその他諸々の準備をして、成人式当日に臨みます。
成人式は月曜日ですが、多くの地域で日曜日に成人式をとり行う自治体があるため、最近は成人式は二日間というのが決まりになりました。
こちらは年々、一つずつ年をとっていきますが、成人式を迎える新成人のお嬢さん方はいつも20歳です。
若い時はお姉さん的な立場での着付けでしたが、最近はお母さんの立場での着付けになりました。
もう何年かすると、おばあさんの立場で着付けをするようになるのかもしれません。
今週から本格的に授業も始まりました。
生徒さんに今年初めてお会いする時は、おめでとうございますの挨拶から始まります。
この1週間はそういう一週間になります。
年の始めは、礼装で授業に臨みます。普段の授業では礼装は着ません。紋付きの着物も着用しません。
ですが、この一週間だけは特別です。
講師は全員色無地に袋帯という礼装で臨みます。
色無地の着物を着るのは、この1週目だけです。
私は普段色無地を着ることがあまりないので、年に一度、この一週間だけに着るために色無地を作りました。
作った当初は、地味だと言われたこともありますが、今となっては「派手かしら」と思うこともあります。
若い時は小物の色も明るめにしましたが、今は落ち着いた帯揚や帯締を選んでコーディネートするようにしています。
そういった楽しみ方やおしゃれが出来るのも色無地ならではです。
しわが目立ちやすく、着るのが難しい色無地ですが、礼装はやはり気が引き締まるものです。
お持ちなら、ぜひお召しになって下さいませ。