紫根染のきものは私の好きな着物の1枚です。
東北南部地方で染められる紫根染は茜染(あかねぞめ)と並び天然の植物染料で染められたとても素敵な染物です。この二つの草木染はなんとなく対になってるように思えます。姉妹とか親せきとか、私の中ではそんな印象です。
紫根染めに使われる染料は紫草の根から抽出されます。
紫草と書いて「むらさき」と読みます。なんとも雅な感じがします。
奈良時代には天皇や朝廷役人だけが身に着けられる「禁色」にもなった高貴な色と言われる紫色は着ると肌を白くきれいに見せてくれます。
紫根染には先染と後染がありますが、着物としての和服地には後染が使われます。
紬地に絞り染めが施され、糸染、無地染、板締、絞などの技法で染められます。
ここで疑問が生じます。
紬なのに絞?これって格はどうなの?
以前私の先生に聞いたことがあります。これは織の着物とも染の着物とも言いきれない着物なのよっておっしゃってました。先生の着ていらっしゃった紫根染の着物がとても素敵で、私もいつか欲しいなと思った着物でした。
それから1年くらいして私も気にいった紫根染に出あうことができました。
私のとても好きな着物の一枚になってますから、先生に感謝です。
紫根染の染色技法
紫草はムラサキかの多年草です。その根である紫根は早春か早秋に採取され、石臼でついたあと麻の袋に入れます。お湯で越して更に丸太で絞りだします。
糸を椿やニシコリ木の灰汁で媒染しその後乾燥させます。この作業が何回となく繰り返されたあと約一年間寝かせます。
紫根の戦役に糸を浸染し乾燥させます。これを15回くらい繰り返し更に灰汁媒染して濃い色に染めていきます。
千足後の糸や生地は3~4年ねかせて色を落ち着けます。
手絞りなので微妙な染めムラがあります。そのムラか着た時に自然なやわらかさを引き出してそれがまたうつくしいいのです。
岩手県盛岡市の「草紫堂」で生産されている南部紫根染は絹の紬地に染められた有名な紫根染です。
この紬には石川県の白山紬が使われます。
白山紬というと牛首紬が思いだされますが、この牛首もまたとても魅力的な着物です。
紫根染、その姉妹染である茜染、白山紬、日本にはまだまだ素敵な染ものがたくさんあります。
稀少価値で値段がどんどん上がっていくのも事実です。
手に入れたいのなら早い方がいいといつも思います。
少しでも安いうちにというよりは、少しでも早く自分のものにして出来るだけ長い期間持って、見て、そして着るのを楽しみたいと思うからです。
和服の魅力は底知れません。