型染の着物 江戸小紋の魅力

この記事の目次

困った時の江戸小紋
私が着付けを習い始めた頃から先生方がそうおっしゃってました。
私が講師になってから20年以上になりますが、今でも言ってます。
「困った時の江戸小紋」と。

何を着ていこうかな?
何を着たらいいんだろう?
こんな時はどの着物がふさわしいの?

着物のことはむずかしくてわからないときに江戸小紋を持っていると重宝します。
合わせる帯によって礼装にもカジュアルにもなる江戸小紋。
一枚持っていると着物スタイルの幅がひろがります。

江戸小紋に袋帯を合わせれば略礼装
名古屋帯を合わせれたカジュアルに
そして、黒共帯や裳の帯を合わせると半喪の装いになります。

江戸小紋について少し説明をします。
江戸小紋は型紙を用いてとても細かい文様を生地の端から端まで染め上げた一色染めの小紋のことです。

小紋は細かい柄という意味で、大紋や中形に対して生まれました。
たくさんある小紋の中で、江戸小紋だけが「江戸小紋」と独立したものであるのは、重要無形文化財の保持者として小宮康助さんが指定された時からです。他の小紋と区別されている江戸小紋は小紋でありながらカジュアルはもちろん、フォーマルにも着用できるきものです。
ですから「困った時の江戸小紋」なんですね。

江戸小紋は昭和30年、西暦1955年に「年重要無形文化財」に指定されました。
大紋型染め、ゆかたなどに使用される中型染めに対して、細かい柄の型染めのことを小紋型染めと呼んでいました。それが「小紋」の名前の起こりとも言われています。

江戸小紋の染色工程

引き続き江戸小紋が出来るまでを書きます。

江戸小紋は型紙を使用して着物の文様を染める技法である型染めで染められます。
江戸小紋の有名な柄はやはり鮫ですが、文様は限りなくあります。
鮫は鮫小紋とも言われ、お嫁入り道具に入っていることの多かったきものです。

染色の行程

1. 地張り(じばり) 板に糊をひいて白生地をピッタリ貼りつけます。

2. 型付け(かたつけ)型紙を送りながら防染用糊(目糊:めのり)をヘラでこすりつけ目糊を生地に付着させます。

3. 扱き(しごき) 生地を乾燥させて地染(じぞめ)を行います。
  型付けした生地を扱き板にのせ、染料と地糊をまぜた色糊を大きなヘラで塗りつけます。

4. 発色 生地全体におがくずをふりかけます。これはのりの付着やこすれを保護防止するためです。おがくずをふりかけた生地を90度くらいで約30分蒸す(箱蒸)ことで染料を染着、発色させます。

5. 水洗いして乾燥させます。

6. 湯のしして幅出しして仕上げます。

江戸小紋の型紙

江戸小紋の型紙は「伊勢型紙」です。
これは、美濃紙に柿渋を塗り縦横交互に3枚張り合わせたものに特殊な彫刻藤で非常に細かい文様が彫られたものです。

江戸小紋の文様は江戸時代、武士の裃として用いられた柄や身の回りの物を文様にしたものなど多くの種類があります。
3役、5役と呼ばれる書くの高い柄、江戸の粋を感じるしゃれ柄など興味深い柄がたくさん存在します。

江戸小紋の柄はとてもたくさんあるので、またの機会に紹介させて頂きます。

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