訪問着を着る時は、結婚式に招待された時、お宮参りや七五三のお母様やおばあちゃまがお召しになることもあるでしょう。
パーティーや冠の儀式などもあります。
訪問着は略礼装ですから、普段には着ません。
紬や小紋などのように、自分が着たいから着て出かける着物とは違います。
自ら主宰する以外は、招待されないと着る機会がない着物と言ってしまうと、少々乱暴ではありますが、そんな位置づけにある着物であることは間違いないです。
華やかな着物ですから、着方も華やかであったほうきれいです。
着物に華やかさを出すための着付けのポイントが訪問着の着付けのポイントとなります。
訪問着を着る前に、長襦袢の確認をしておきます。
衣紋は抜き気味に、衿元は若干つめ気味にして、土台をドレッシーな感じに作ります。
着物を着る時に、案外おろそかにしてしまうのが、肌襦袢の抜きです。
着付け教室でも、肌襦袢の後ろをしっかり下に引いておかないと、着物を着た時に後ろから下着が見えますよ。
と言うのですが、お洋服に慣れているみなさんの下に引く感覚と着物を着た時後ろから見えないくらい引く感覚とは違うようです。
お稽古の時は、一度見てもらってから実践して頂くのですが、それでも抜きが少ないことが多く、「もう少し後を下に引っ張りましょう」とよく言ってます。
本来ならば、長襦袢の下に着る肌着は、長襦袢の衿の汚れ防止のため、衿がついていて、その衿は後ろから見えてもいい作りになっていますが、最近の着付けはm後ろから見た時に肌着の衿が見えないようにしましょうというのが主流のようです。
訪問着の着付けのポイント
土台がしっかりできたら、訪問着を着ていきます。
訪問着には、刺繍半襟を合わせることも多いです。半衿に刺繍が入っている場合は、その刺繍を見せるために半衿は白無地のものより多めに出します。センチで言えば、3~4㎝といったところが目安です。
また、訪問着にはだて衿をつけることも多いです。だて衿は付けたからといって格が高くなるわけではありませんが、華やかさとおしゃれを楽しむためには、マストなアイテムです。
だて衿は、十二単衣の襲の名残なのですが、この件については、また別の機会にゆっくり書かせて頂きます。
だて衿は五ミリ程度見えるのがきれいです。
おはしょりの長さは、小紋や紬と変わりません。帯の下の線から6~7センチです。
上前幅は右腰骨を目安にしますが、訪問着の場合絵羽模様なので、柄の中心が身体の中心にくるように着付けます。
その理由は、訪問着の仕立ては、寸法優先か、柄優先かの2通りあります。
少しくらい柄がずれても寸法通りに仕立てるか、寸法どおりじゃなくても、柄がきれいに見えるほうを優先して仕立てるかです。
訪問着は、自分の物であっても寸法が違っていることがあるのはそのためです。
裾線は、後は床すれすれ、前は足袋の甲すれすれです。
裾線については、草履をはくと短くなります。
もう一つ、壇上に上がることがあるのなら、下から見るとかなり短めに見えます。
今日の自分はどのようなシチュエーションでその会に出席するのかを把握して、裾線を決めると失敗がありません。
華やかで、ドレッシーな和のドレスである訪問着。
手の込んだ技法の物は、それなりの金額もしますが、間違いなくものすごいオーラを放つ着物です。
着る機会は少ない着物ですが、私自身、着るととても気分が良くなる着物です。