かたい着物、やわらかい着物、着物にはそんな呼び方があります。「着物の勉強を始める前の私は、かたもの」と「やわらかもの」の違いなどまったくわかりませんでしたし、着物に、かたいとかやわらかいとか、そんなものがあることも全然知りませんでした。
ですが、着物を勉強し始めると、この表現着物人はよく使います。省略して、「かたもの」と「やわらかもの」という言い方もされてます。
私がかつて、なにそれ?と思った「かたい着物」と「やわらかい着物」の違いや着分けの仕方について書いていきたいと思います。参考になれば幸いです。
かたい着物
紬、お召し、紗の着物などが、「かたもの」と呼ばれる着物です。
麻の着物である上布や、木綿の着物の絣もかたい着物に分類されます。
着物の格でいうと、普段着、カジュアルな着物が対象となります。
普段着ですが、高価なものもたくさんあります。
先染めの着物とも言われます。
糸のうちに染めて、染めた糸を織るのが先染きものです。
やわらかい着物
縮緬、綸子、羽二重、絽などが「やわらかもの」呼ばれる着物です。
着物の格は、普段着から略礼装、正礼装まで、幅広くあります。
種類としては、小紋、色無地、つけ下げ、訪問着、振り袖、留袖、喪服などはやわらかい着物に分類されます。
後染めの着物とも言われます。
絹糸を織って布にしてから、その布を染めるのが後染きものです。
私が席を置いている着付け教室では、「かたい着物」「やわらかい着物」の表現を使ってましたが、ある時、その表現は使わないと決まりました。ですが、その決まったことが、今は風化されたようで(笑)先生たちは普通に、「かたい着物」「やわらかい着物」という表現をします。そりゃあそうです。当たり前のように使われる言葉ですから。
ちなみにですが、かたい、やわらかいの変わりにどう表現してたかと言いますと、
「織りの着物」「染めの着物」と言っておりました。
これがかたいとやわらかいを区別する答えかもしれませんね。
「かたい着物」=「織りの着物」
「やわらかい着物」=「染めの着物」
これがいちばん、簡単な区別の仕方だと思います。
絹の着物が出来るまでには行程は3つあります。
1 繭⇒真綿⇒紬糸⇒染⇒織⇒ 先染めの着物
2 繭⇒生糸⇒絹糸⇒染⇒織⇒ 先染めの着物
3 繭⇒生糸⇒織り⇒染⇒織⇒ 先染めの着物
1,2は、かたものです。その中でも、1は紬全般、2は大島絣の行程です。
3が、やわらか物全般です。
大島は大島紬ではなく、大島絣なんです。
なぜ?って私も不思議でしたし、紬(つむぎ)と絣(かすり)?ってちんぷんかんぷんでした。
このお話は、またの機会にゆっくりさせて頂こうと思ってます。
着物の素材は、絹だけではありません。
木綿や麻の着物にも、先染め、後染めがあります。
木綿の先染め:久留米絣、弓浜絣、唐桟、阿波しじら、など
木綿の後染め:浴衣、帯地など
麻の先染め:上布、縮など
麻の後染め:着尺地、帯地など
染め紬や、紬の訪問着など特殊な物もありますが、
先染めの着物は、礼装にはなりません。
パーティーならいいけど、結婚式はダメ、なんて決まりもあります。
着物は難しいですね。
でも、難しいなんて思わなくていいんです。
あんな着物を着てくるなんて、などと言う人がいるから着物の敷居がどんどん高くなってしまうと私は思ってます。
ステキならいいじゃない。
しきたりは大切だけれども、頭が固いのは頂けませんよね。
着物どんどん着て下さい。
自分も、まわりの人も豊かな気持ちになれるはずです。