色無地は基本、略礼装の着物です。用途はとても広く、略礼装の着物ですが、帯によって格が変わる着物でもあります。
色無地に袋帯を合わせると、略礼装ですので、結婚式の披露宴等にも着ることが出来ます。名古屋帯を合わせると外出着となるのでちょっとしたお出かけ着にもなります。格で言えば小紋と同格の装いです。
また、色無地に黒共帯を合わせると、半喪の装いとなり、喪の略礼装として着ることが出来ます。喪の略礼装はお通夜や法事などの装いです。半喪の装いにする時には色には気をつけなくてはいけません。色無地によくあるピンクやオレンジなどの派手な色は避けます。
親族は喪服として着物を着るお葬式が最近は少なくなりました。テレビのニュースで見るようなお葬式では、喪主の方は着物をお召しになっていらっしゃいますが、私が普段参りますお葬式では、着物の喪主さんはほとんど見なくなりました。
そういう意味では、喪の略礼装としての半喪の装いは、あまりすることはないのかもしれませんが、知識として知っておいても損はないのかなと思います。
ちなみに、地方によっては喪服に黒の袋帯をしめるところもあるようです。
喪服も普段私たちが目にするものは黒ですが、こちらも地方によっては喪主は白の着物を着用するところもあるようです。
先に、色無地に黒共帯をしめると、喪の略礼装になると書きました。黒共帯は、喪服を着る時の黒の名古屋帯です。喪服は弔辞の正礼装といわれるのに、帯は袋帯ではなく名古屋帯です。
理由は、袋帯はお太鼓の部分が2重になります。不幸事が重なるのを縁起が悪いとされるので、喪服の黒共帯は名古屋帯だと習いました。袋帯の長さは、約4mに対して、名古屋帯の長さは約3m60㎝です。その差約40㎝、この差がお太鼓が一重になるか2重になるかの差になります。
袋帯はお太鼓結びにするとお太鼓が2重になります。名古屋帯はお太鼓結びにするとお太鼓が1重です。持っている帯が袋帯か名古屋帯か不明な場合は、測ってみることも解明方法の一つです。
色無地の着付けのポイントの記事なのに、喪服のことばかり書いています。
喪服のことを書いたら長くなりました。
というわけではないんです。
喪服は、紋の付いた黒の色無地です。
喪服の着付けのポイントはこれから書きます色無地の着付けのポイントとは少し違いますので、また次の機会に書くことにします。
色無地の着付けのポイント
色無地の着物は身体のラインが出やすい着物です。柄のあるものだと、線が柄でぼける効果があるので、ボディラインがくっきりと出ることはありませんが、色無地の場合身体の線がそのまま出てしまいます。
また胸元、ウエストヒップの補整も補正のラインが表にうつってしまいますので気をつけなくてはいけません。
衿元は半衿は合わせ目で約2~3㎝出るときれいです。色無地の場合は特に衿幅に気をつけます。上前と下前の衿の幅が違うととても目立ちます。こういうところも色無地を着る時の難しさです。衣紋の抜きはやや多めですが、こちらも体形や年齢、髪型に合わせます。
おはしょりは帯の下線から6~7センチ、人差し指の長さくらいが目安です。
おはしょりと上前幅の衽つけ線は、どの着物でもそろえるのが鉄則ですが、色無地の場合、衽つけ線があってないと、特に目立ちますので気をつけます。
裾線は、後は床すれすれの位置、前は足袋の甲が隠れる程度に決めます。
日本の生活は正座の生活でした。ですから色無地は上前を少し広めに仕立てることがあります。その際の着付けの場合、上前を少しかぶせ気味に着ます。これは正座をした時、着物がはだけるのを防ぐためです。
そういう意味で喪服やお茶時の色無地など、正座をする場所での色無地は普段着る色無地とは少し違います。
最も、最近はお葬式も椅子になってますし、お茶席も椅子式のところもあります。
生活の変化と共に、着物の着方も変わってくるのかもしれません。