長板中型は正式名称を「長板本染中形」が正式名称です。
長板中型と言えば浴衣のことで、江戸時代から続く伝統ある技法で染められています。
片付けには長板を使います。染料には植物藍を用います。
長板中型が一般的な浴衣と違うところは、生地に厚みがあることと、表と裏が違う柄に染められていることです。
裏表がどちらも表で、表裏を変えて仕立て直しをすれば違う柄の浴衣になります。
長板中型には浴衣用の帯をしめますが、博多織などの名古屋帯をしめてもきれいです。
いまどきの浴衣のように出来上がりで売ってるものはほとんどありません。
反物の状態で店頭に並んでいます。
金額も安くはなく、好きな人じゃなければ着ない浴衣であると思います。
お母様やおばあ様が長板中型を持っていらっしゃったら、ラッキーです。
帯も博多帯などの少し上等なものを合わせるとと長板中型ととバランスが取れて素敵な装いになります。
長板中型の行程
三間半の長い貼り板に薄く糊を引きます。
三間半とは約6mです。反物の長さは約12メートルですから、一反の半分ずつ染めることになります。
1. 布貼り 糊を引いた長板にしわを作らないように白生地を張ります。
2. 型付け 長板に貼った白生地の上に型紙をのせ、染料を混ぜた防染糊をヘラで摺り込むように生地につけていきます。
継ぎ目がわからないように型紙を置くのが難しい技術です。
一反の半分が終わると一度乾かしてから残りの半分を、その後裏を染めます。
3. 豆汁(ごじる)入れ 型付けした布に伸子張り(しんしばり)をして豆汁を刷毛で両面に引きます。
2日置いたらもう一度両面に豆汁を引き、たたんで一週間ねかせます。
4. 藍染 型を写し終えた生地を藍甕に入れて、一気に染め上げますが、型糊が撮れないように手早く作業しなければいけません。薄いかめから濃いかめへ3回染めたら空気に晒します。
5. 水洗い 水をはった桶で糊を洗い落します。その後屋外に干して乾燥させ幅を整えて仕上げをします。
注染中型と比べると手間も時間も十数倍かかります。
そのため長板中型は値段が高くなるのです。
日本の伝統染色工芸のひとつである長板中型は小紋よりわずかに大柄のもので、長板本染中形が正式な名称ですが、江戸中形とも呼ばれます。
藍は防虫、防臭などの作用を持つ天然染料で、その藍で染められる長板中型はあまりにも高度な技術です。現在は木綿だけでなく麻や絹にも染められています。
カジュアルな浴衣もステキですが、長板中型は大人の女性の浴衣だと思います。
夏にさらっと長板を着ている人をみかけると、素敵だなって思います。