夏の着物 透けてる部分はどうなっているの?

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6月に入り単衣の着物に変わったと同時に、関西では夏帯をしめますので、長襦袢と帯揚、帯締も夏ものに変わりました。
夏ものはうすものともいわれ、単衣の着物ではありますが、6月と9月に着る単衣とは生地が違います。

うすものというのは透ける素材です。
透明透けるといっても、透明ではありません。紗や絽、羅などの隙間のあいた生地をうすものといいます。

紗は、織のきものです。私たちは「かたもの」などと表現しますが先染のきものです。
基本先染の織物ですが、白生地もあって友禅などの染が施されたものもあります。

これが紗です。

見た目は網戸の網のような感じといえばわかりやすいかもしれません。
網戸と似ていますが、織り方は全く違います。

緯糸を通したら、隣り合わせになった2本の経糸を絡めます。
その後緯糸を通し、また2本の経糸を絡めます。

絵に描くとこんなふうになります。

経糸が絡んでいるので、緯糸を通して打ち込んでも目が詰まりません。
隙間が出来るので風通しがよく通気性に優れているので夏の着物に適しています。

この隙間を捩り目とか絽目といいます。
最近の紗は経糸緯糸ともに駒撚り糸が使われているので駒紗といわれます。

紗は平織りですが、ジャガード機で模様を織りだした紋紗もあります。
風通紗は面白い生地で、表と裏の柄が違います。二枚の布が重なって織られていますが、一枚の布に見えます。

搦み織の一種で横に絽目と呼ばれる隙間の入った物を横絽、縦に筋が入っているものを竪絽(たてろ)といいます。
三本絽、五本絽、七本絽、九本絽などがあります。

平織を三段織って経糸を絡めてまた平織りを3段というのが三本絽です。
この図です。

竪絽は経糸の一定の間隔ごとに橫糸を入れない空羽(からは)をつくり隙間をあけます。
この図です。

絽にはいくつかの変化組織があります。
平織した普通の絽が平絽です。平織りの部分を綾織にすると綾路になります。
ジャガード機ええ部分的に紋織にすると紋絽となります。

最近の着尺地は糸に駒撚糸を使った駒絽がほとんどです。
駒撚糸は、2本の糸に下撚りをかけます。その2本の糸に、下撚りより少し少ない右撚りの上撚りをかけます。
駒撚糸を使うと絽目がきれいにそろって、さらっとした感触になるので肌触りのいい生地になります。

絽は紗に比べ平織りの面積が多いため精緻な友禅染を染めることも可能です。
模様染めのしやすい生地をという考えから開発されたのが絽の生地で、紗よりも描きやすいため多くの染作品も発達してきました。

夏のきものは暑いと思っているかもしれませんが、長襦袢、長着ともの正絹のものを着るとそんなに暑くはありません。
プラスするなら、そこに麻の下着を身につけます。

夏に着物は…と思うのは当然かもしれません。
まずは浴衣から夏の着物を楽しんでみて下さい。

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