下襲(したがさね)は長着の下に重ねて着ます。特に礼装に用いられています。
留袖や、本振袖です。
従来から使われてる襲を本襲といいます。
長着と同じ形をしています。留袖の場合色は白です。
生地は一般に、白羽二重を使います。
本襲の着物を着る時は、長着と下襲を重ねて一緒に袖に手を通しますので、ずれないように5か所ほど縫いとめます。
表から見えないように気をつけて、背中心の衿付け付近、両袖の付け根の後ろの部分、左右の衿先の計5か所をとめてしましまって着ます。
着にくいかと言えば、そうでもなくて、特に比翼の部分はきれいに決まります。
最近は襲を見ることはほとんどなくなりました。
おばあちゃんの着物があれば、一度見てみて下さい。
留袖と同じ形の白い着物があれば、それが襲です。
たまにいらっしゃいます。
私は本襲が好きだから本襲が欲しいとおっしゃる方が。
そういうときは。専門家である仕立て屋さんにお願いします。
どこの仕立て屋さんでも、本襲でと言えば仕立てはしてくれるはずです。
最近は形式的に襲の形に仕立てられた、比翼仕立て(ひよくじたて)のものがほとんどです。
衿、袖口、振り、裾の部分にだけ襲のかたちに仕立てたものです。
比翼仕立ては最近の主流です。
何の指定も無しに留袖を仕立てに出せば、比翼仕立てで戻ってきます。
衿の部分、袖口と振りの部分、裾の部分は2枚着ているように見える仕立てがされているのです。
小学校のころ、騙し服というのが流行りました。
1枚しか着ていないのに、2枚重ねをしているようなデザインの服です。
ぱっと見は、Tシャツの上にジャンバースカートをはいているふうに見えますが、
良く見るとTシャツとジャンスカは一体化しているといった感じでした。
それと同じにしてしまうのは、ちょっと無茶だとは思いますが、1枚しか着てないのに2枚着てるように見えるということで、頭に思い浮かぶのがこれです。
結婚式場に着付けの仕事で行きますと、ご自身の着物をもって来られて着付けをすることも多いです。
たとう紙の中から着物を出したら、留袖と襲が入っていました。
ですが、ないんです。
留袖と襲はあるけれど、長襦袢がないんです。
このパターンけっこうあるんですね。
呉服屋さんに聞いてみたら、それは長襦袢だと言われたから家に置いてきたって。
これ、もう何度も聞きました。
呉服屋さんが悪いと言うわけではないんです。
おそらくですけれど、持ち主の方が襲と言うものをご存知なければ、うまく伝わらないことがあると思うんですね。
それで行き違いが生じるのかなと…
余談ですが、
長襦袢の無い時、着付け師がどうするか?
そんなことも、どこかの記事で書こうかなと思います。
下襲は下着です。
留袖には絶対必要です。
お手持ちの留袖が、おばあちゃまや、ご年配の方に譲ってもらったものだったら、
いちど確認してみることをお勧めします。