型染の着物 木版更紗

更紗には、描き更紗、ろうけつ更紗、摺り更紗、木版更紗があります。
ろうけつ更紗には手描きと型の2種類あります。
摺り更紗は型紙を使ったもので、木版更紗は版木を使います。

更紗の柄はは写生風のものや幾何文様の入れるなど多種多様です。
臙脂(えんじ)、藍、緑、黒や黄色など独特の濃厚な色が使われ、柄は南国熱帯地方の草場やや樹木に鳥獣や人物を配した異国情緒豊かな染です。

更紗の発祥地はインドと言われていて、木綿地の文様染め製品を言います。
その歴史は紀元前にさかのぼりますが、日本に伝わったのは室町時代から江戸時代にかけてで、南蛮貿易と共に渡来しました。この時代、更紗は木綿に染められていました。

江戸時代の後期には日本国内でも染められるようになり、長崎更紗、鍋島更紗、天草更紗、堺更紗などが産まれました。

現在の更紗は渡来更紗とは違って色彩もその文様も日本的なものが多くなっています。
雰囲気的に更紗っぽいものが更紗と呼ばれています。

更紗の染技法

1. 描き更紗
筆や刷毛で顔料や染料を生地に書いていきます。

2. ろうけつ更紗
手描きと型の2通りの染めかたがあります。
手描きろうけつ更紗は筆にろうをつけて防染します。
型ろうけつ更紗は木版や金属の型にろうをつけて生地に押しつけます。

3. 摺り更紗
生地の梅に型紙を置きその上から染料をつけた丸刷毛で色を摺り込むように染める方法です。

4. 木版更紗
版木に顔料や染料をつけて生地に押し写します。

私の持っている更紗は江戸更紗で、2代目更仁が製作者として落款に入っています。
求めたのはまだ20代の後半でした。当時は地味な着物だとおもってましたが、今袖を通すと少し派手に見える気がします。
着物を求める時には、なるべく長く着れるようにを考えて選ぶようにしています。
それでも若いころに手に入れた着物は派手になったと思うものもあります。

逆に若いころはシックだと思っていた着物が、年を重ねると地味に見えることもあります。
若いころ渋めでまとめていたコーディネートも、今はどこかに明るめの色を入れないと顔がくすんで見えたり疲れて見えたりします。
着物と帯は同じでも、帯揚や帯締などの小物を変えることにより着物は長く着ることが出来ます。

求めた当時は、更紗は作り手がいなくなるのでもう作らないと聞きました。
もちろん更紗自体は他の工房でも作られているでしょうから全くなくなるというわけではなかったようですが、しばらくの間更紗を見ないなと思った時期があったことは確かです。

今はまた更紗は復活しています。
小紋としてはとても着やすい柄の着物です。
型染め更紗は、簡単な柄であっても型紙を20枚から30枚、複雑なものでは300枚以上使います。
技術も時間もかかりますが、なくなってほしくないきものの技法です。

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