5月は単衣の長襦袢、生地は楊柳が心地よいです。

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5月に入りました。今日は暖かい一日でした。
今年は寒暖はあったものの暖かい日が多く、桜の満開時期も昨年より一週間ほど前倒しになりました。

着物の約束事では5月1日から長襦袢の装いが変わります。
袷の長襦袢から単衣の長襦袢への変化ですので見た目の変化はほとんどないですが、お袖の部分が2重から一重になるので少し軽くなり同時に少し涼しくなります。

単衣の長襦袢に適した生地は楊柳です。

長襦袢が袷から単衣に変わるこの時期に着る長襦袢は、先月4月末まで無双袖だった長襦袢のお袖が一枚になります。

袷(あわせ)の長襦袢は無双袖になっているのでお袖の部分が表裏共布で2重です。無双袖の長襦袢は袷の長襦袢のことでお袖は2重で身頃は一重です。

昔は身頃の部分も2重にしていましたが、暖房器具の性能が良くなり部屋の中ではあまり寒さを感じなくなったことから現在では身頃の部分は袷ではなく単衣になっています。
ただ、お尻の部分は縫い目が裂けやすいので、居敷(いしき)あてを当てたほうがいいと思います。

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楊柳の長襦袢

単衣の長襦袢に最適の生地は楊柳だと思います。
さらさらしてべとつかず気持ちがいいです。

楊柳は生地の種類の名前です。「ようりゅう」と読みます。

生地をよく見ると細かい経(たて)シワが入っています。 楊柳がべとつかずサラッとしているのは、この経しわが入っているからです。この凸凹により肌に触れる面積が少なくなります。そんな理由から楊柳は特に春夏用の生地として使われます。また経方向の凹凸は楊柳シボとも言います。

楊柳のしぼは緯糸に片撚の強撚糸を入れることによって発現します。

楊柳縮緬

楊柳の正式名称は楊柳縮緬(ようりゅうちりめん)です。
経糸に無撚の糸、緯糸に強撚の片撚糸をを用いて平織りにした織物です。
縦方向にしぼが現れます。これが生地の表面に細長いしわを作ります。

上記は本来の楊柳の製作方法ですが、最近の大半を占めているのは型押しの楊柳です。
これは機械ロールによるしぼ立ちで、細かい縦縞模様を彫刻したエンボスロールに布地を通して織物の表面に突起をつくります。片撚り糸を使ったしぼ立ちと同じ効果を得ることが出来ます。

本来の楊柳縮緬は縮みやすいため現在はあまり製造されていないようです。
長襦袢地としては洗濯がしやすいということで化学繊維の楊柳縮緬の生産がのびています。

これから暑くなっていくこの季節、お袖の部分が一枚減るだけでも気持ちよく過ごせます。
単衣の長襦袢は関西では5月と10月に着ます。
年間を通じて2ヶ月間しか着る機会の無い楊柳の長襦袢ですが、決まり事や約束事を守ってきちんと装うことを大切にしていきたいと思います。

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