単衣の時期には夏帯をしめますで、夏帯をしまうのは10月に入ってからなのですが、この帯はもうしめないので片付けます。
理由は柄が「朝顔」だから。
「朝顔」は俳句の世界では秋の季語です。
現在採用されている新暦ではなく、旧暦をもとに分類されているので、朝顔だけでなく、「盆踊り」や「西瓜」も秋の季語です。
俳句の世界の奥も、きものと同じで深いです。
現代俳句協会という団体がありまして、そこは旧暦に従っていた季語を新暦に基づいて区分けしています。
そうすると、「朝顔」「盆踊り」「西瓜」などは夏の季語となるんですが、「立春」は冬の季語になりますし、「立秋」は夏の季語に、ということで、あちらをたてれば、こちらがたたずとでもいいましょうか、なんとも言い難いことになってしまいます。
個人的にも、どちらがいいとか悪いとかそんなことはとても言えませんが、朝顔は夏だなっては、思います。
そんなわけで、9月の単衣の時期には朝顔の柄の帯はしめません。
着物の世界では、季節は先取りがいいとされてますから、朝顔の帯をしめるのは6月~遅くても8月いっぱいにしています。
朝顔の帯、ずっと欲しいなって思ってました。イメージ通りの朝顔の絵がなかなか見つからなくて、いつか、いつかと思ってました。
この帯は、ある時出会った染色作家の先生に書いて頂いたものです。
帯の地の色を選び、私のイメージで朝顔の帯を書いてほしいとお願いしましたら、その場でサラサラと絵を描いて下さって、その絵がなんかとてもイメージ通りで、結局書いて頂くことにしたんです。
たれ先にも一輪書いておきますねと言って下さったので出来上がりが楽しみでした。
たれ先の一輪もとても気に入ってます。
前は赤い大きな朝顔が書かれてます。
前の柄は、全部おまかせでおねがいしました。
反対巻きにするとこの柄がでます。
これも、すごく考えられてる柄で、作家先生とお話しした時に、「前の柄って帯締で隠れちゃうことがある」って私が言ったのを覚えてて下さったんでしょう。
まん中が抜けてます。
帯締めをすると、こうなります。
柄が帯締めで隠れることなくしめられます。
自分の意見を伝えながら、好みも伝えて、会って話をした上の私のイメージの帯ですので、文句なしのお気に入りの1本となってます。
そして、見えないところのおしゃれって、こんなのかなと思います。
たれの部分に私の名前が入ってます。
どなたかに譲ったりするのは難しくなりますが、自分の名前が入ってる帯って、なんかいいでしょ。
もちろん、帯をしめた時には隠れる位置です。
来年しめる時まで箪笥の中で休んでてもらいます。
また来年あいましょう。