今日9月1日から、着物がうすものから単衣に変わりました。
本格的には10月1日の更衣(ころもがえ)の前のあいの期間となります。
着物の世界では、更衣と書いてころもがえと読みます。
更衣は、いにしえの宮中でのしきたりです。
陰暦の4月1日と10月1日をもって装束を夏のものと冬のものに更衣する習慣がありました。
その後は、綿入れ、袷、うすものに分かれたのを経て、現在の袷、単衣、うすものになりました。
現在は洋服中心なので、衣替えと言えば、制服が6月1日と10月1日に更衣をするくらいでしょうか。それもだんだん少なくなってきてますね。
9月になったからと言っても、まだまだ暑くて、単衣を着るには、暑いなーと思うこともあるのですが、教室で、着物のことを教えている以上、しきたりは重んじなければいけません。
昨日までのうすものを単衣の着物に変えました。
帯は、水曜日までと同じく、夏帯で、母から譲り受けたものです。
着物が変わるとコーディネートも変わるので、帯揚と帯留をチェンジしました。
帯締めはそのままです。
着物は単衣の紬です。
長野県の上田地方のものです。この地域も後継者がいなくて作品が無くなりつつある紬の産地でもあります。
昨日までは、この夏の織りの着物を着てました。
光の具合で、色が違って見えますが、同じ帯です。
シンプルなデザインの物は、なんにでも合わせやすいです。
夏帯は、うすものにも単衣にも合わせられものをと思っています。
コーディネートをステキにするキーは、帯揚、帯締などの小物との調和です。
どれを合わせようかと悩む時間もまた有意義で、私が好きな時間でもあります。
珍名「四月朔日」
他でも、目にしたことがあるでしょうけれど、この字で「わたぬき」と読みます。
珍名さんでよく登場しますね。
朔日は始まりの日という意味で、「四月一日」と同じです。
旧暦では四月一日が更衣。綿入れから袷に替えた日です。
昔の女性は家の中での働きものでした。
今のように、外に出て働くことがなかった時代がありましたね。
着るものは自分で縫いました。
寒くなると、着物をほどき、中に綿を入れて縫い変えます。
冬を過ごし、暖かくなるとまた着物をほどき、綿を抜きます。
それが更衣であり、4月1日でした。
ですから、四月朔日(四月一日)は着物から綿を抜くをいうことで、
「わたぬき」と読むんですね。
お稽古の授業の中で更衣のお話しをする時に、一緒にするお話しの一つです。
9月1日、今日の私の更衣はうすものから単衣へのチェンジでした。
10月1日の本格的な更衣までは単衣の着物で過ごします。
帯は夏帯、長襦袢もうすものです。
移り変わる季節や、変わっていく天気や、空気とともに着物も変わっていきます。
ここから1カ月、単衣の着物を楽しみたいと思います。