10月に入りました。着物が単衣(ひとえ)から袷(あわせ)に変わります。
厳密に言うと単衣、袷は短く略してます。正確には、単衣仕立(ひとえじたて)、袷仕立(あわせじたて)です。
表現としては、単衣の着物、袷の着物で間違いありません。そういえばちゃんと伝わりますし、むしろその表現が独立した単語にもなってます。
日本には古くから衣がえの風習があります。近年では衣がえが習慣としてはなくなってきています。制服のあるところでは衣がえで装いを変えるところもありましたが、今は年を通して同じものを着用しているところが多いです。
学生時代、冬物のセーラー服に冬物の制スカートと夏物のセーラー服と夏物の制スカートがありました。きちんと衣がえがありました。ちょうど切り替わりの時期に、暑い!と騒いでいた記憶があります。
着物の世界では衣がえに更衣の字を用います。
更衣と書いてころもがえ、着物を習い始めていろんな言葉も学びました。
今年も、涼しくなったり暑くなったりを繰り返してます。洋服なら調整が出来ますが、着物は調整が出来ないです。暑ければ袷ではなく単衣でもいいのかなと思いますが、しきたりや決まりごと、約束事などをを重んじる場所では10月1日から着物は袷です。
着付け教室でも、もちろん約束事重視です。
単衣の長襦袢
先週は金曜日が9月30日、土曜日が10月1日でしたので、金曜日までは単衣の着物、土曜日が袷の着物という装いでした。
9月と10月では長襦袢も変わります。
9月にはうすものの長襦袢を着てましたが、10月は単衣の長襦袢です。どちらも単衣仕立てですが、生地が違います。
うすものは、透ける素材です。生地は絽、生地上に絽目といわれる空間があります。
生地を織る時に、緯糸(よこいと)をとおしたあと、縦糸(たていと)の横並びの2本の左右を入れ変えてまた横糸をとおします。
そうすると空間が生まれます。
言葉にするとむずかしいですね。
うすものについては、またの機会に書くことにします。
単衣の長襦袢は、袷の生地にするものを使うこともありますが、私たちが着用するのは楊柳(ようりゅう)という生地です。サラッとしてきもちがいいので単衣の長襦袢には適した生地です。
単衣の長襦袢にかける半衿は、冬物です。
夏の間お世話になった絽の半衿は、お洗濯をしてアイロンをかけたので、来年までしまっておきます。
今まで、単衣の着物でしたので、袷の着物を着ると、暑さとともに重さも感じます。
10月の更衣を終えると今年もあと100日をきります。
今年も、もうそんな時期がきたんだと思うとともに今年一年のしめくくりをそろそろと、思う時期でもあります。
そういったことを感じさせてくれる衣がえの風習は、やはり大事な、貴重な風習だと思うのです。