きものは保存がきちんとされていれば、おばあちゃん、お母さん、お嬢さんと3代着れると言われる、とても価値のあるものです。
「絹は生きてる」と、いろんな方がおっしゃいます。絹で出来た着物は、年月と共に変化します。着物の胴裏が黄ばむのは絹が湿気を吸収することによっておこります。黄変の防止加工技術もありますが、黄ばみは絹本来の性質からそうなるものなのです。
手入れと保存により、良い状態を保てば長く着れる着物です。この記事では着物の保存容器について書いていきたいと思います。
箪笥
きものの保存、収納に最も適しているのはタンスです。タンスの中でも、桐タンスは、きものの収納に理想的な保存容器と言っていいでしょう。
桐タンスがなぜいいのかは、桐の持つその性質により保存容器として完璧な働きをしてくれるからです。
桐タンスは湿度が高いと木目が詰まります。逆に湿度が低いと空気が乾燥するので、木目が開きます。その性質により、桐タンスの中に入れた着物は湿気に影響されることがありません。
また、桐タンスは気密性にも富んでいます。
引き出しをしめると、他の引き出しがあきます。引出しを閉めたとき、他の引出しが開いてくるたんすはきちんと作られたよいタンスです。
桐タンスは量産が出来ません。また高価です。
出来れば桐タンスにきものを収納するのがベストですが、コストを抑えるために、内張りだけ桐を使った箪笥や押し入れに入る、押入れタンスなども作られてますので、そういったものを利用するのもいいのかなと思います。
衣装箱
衣装箱には、たくさんの種類があります。最近ですと、布製や紙の衣装箱、プラスチック製の衣装箱が主流ですが、薄い金属板製の物、内側にすず箔した衣装箱も押入れに入ってたりするのではないでしょうか。
衣装箱のいいところは、収納がしやすい点です。また持ち運びも容易です。
中身の見えない衣装箱なら、中に何が入っているかわかるようにラベルやシールなどに書いて貼っておくと便利で使いやすいです。
茶箱
茶箱の話を教室ですると、知らない、見たことがないという生徒さんがたくさんいます。
私の家には、今でこそありませんが、茶箱がいくつもあり、そこに衣類やきものを収納してました。
もともとお茶の葉を入れるために作られたものですから、湿気にはかなり強いです。防カビ、防湿の効果のあり茶箱に収納するのは、おすすめと言われています。
茶箱は杉で作られており、中に貼られているトタンには防湿効果あります。職人さんによる手作りの物は、今でも収納道具として重宝されてます。
ただ、底が深いので、きものの出し入れが大変でした。長期間出さずに保存するには適していましたが、移動するのに重たく、かさばってしまうということで、処分しました。
今になって思えば、処分したのは間違ってたかなと思うこともありますが、最近の部屋は押入れのない部屋もあるので、しょうがなかったかなとあきらめてます。
きものの収納は大事です。
適切な収納容器に保管して、3代着れる着物を生かしてあげて下さい。