博多織 よこ方向の畝なのに「たて畝織」ってなぜ?

この記事の目次

博多織の名の通り博多を中心に織られています。
九州の福岡が主な産地です。

博多織は帯地が中心で、その特徴はよこ方向に畝が現れたたて畝織です。

よこ方向なのにたて畝?
始めて聞いた時には、先生間違ってるなどと失礼なことを思いました。
今でもややこしいと思うことがありますが、そのまま覚えてしまうのが一番いいと納得しています。
博多織は帯としてもしめやすく重宝するのですが、織物の技法の上でとても勉強になる織物です。

たて畝織とよこ畝織の違い

たて畝織に対して、よこ畝織もあります。
よこ糸を太くしてよこ方向に畝を出したものを「たて畝織」、たて糸を太くしてたて方向に畝を出したものを「よこ畝織」といいます。
なんだか頭がごちゃごちゃしてきますので整理してみます。

たて畝織は、経糸(たていと)を密に貼り、緯糸(よこいと)は糸を数本引きそろえて太くしたものを使います。織の組織は平織りです。
細い経糸で太い緯糸をくるむ形になりますので緯糸が経糸に隠れてしまい、表面に見えているのは経糸のみになります。緯糸が太いので畝はよこ方向にできます。

たて畝織の畝は緯糸(よこいと)が太いので、畝は横方向にあらわれますが、表面に見えるのは緯糸をくるんだ細い経糸(たていと)のみなので、畝は横方向だけれど、見えてる糸が経糸なのでたて畝と覚えるようにしました。
博多織はこの「たて畝織」にあたります。
これで頭のごちゃごちゃがスッキリしてきました。

反対によこ畝織は、経糸(たていと)を太くして緯糸(よこいと)が細いので太い経糸を細い橫糸がくるむため、経糸が緯糸に隠れてしまい表面には緯糸のみが見えます。
畝はたて方向にできますが、表面に見えている糸が緯糸なので「よこ畝織」と覚えました。

博多織の技法と特徴

通常の織物の場合、経糸は普通3000本くらいですが、博多織は経糸が約5000本ほど使用されています。
緯糸は3回~4回強く筬打ちします。このため緯糸が経糸に隠れてしまいます。
これを「三つ打ち」といいます。

博多織の色と文様
博多織を代表するのが「献上博多」です。江戸時代に筑前藩主黒田長政が幕府に博多織を献上したことに由来しています。古式染色によって、青・紫・赤・紺・黄の五色に彩られた献上博多は「五色献上(ごしきけんじょう)」と呼ばれています。

献上柄は、仏具の「独鈷」と「華皿」の連続模様です。柄の数で三献立、五献立、七献立とよばれ、一本独鈷と両側に華皿、それに縞柄をあしらったものが三献立です。五献立は、独鈷と華皿が合わせて五本、七献立は合わせて七本入ります。

博多織の特徴でもある独鈷柄(とっこがら)は仏具の一種「独鈷」を転がしたときにできる模様を図案化したもので、独鈷の連続模様を1本だけ入れたものが「一本独鈷」です。

固くしっかりしてしめやすい博多織、しめる時にキュッキュッと鳴る絹鳴りの音もその特徴です。
浴衣にもしめられる博多織、化学繊維の帯がそのほとんどをしめる浴衣の半幅帯ですが、本物志向で浴衣に博多織の帯をしめてみるのもおしゃれだと思います。

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