型染の着物 注染中形

中型は浴衣の別称です。
浴衣は中形の型紙で藍染されたところから中形ともよばれるようになりました。
中形が浴衣のことだとわかるのはごくごく一部の方かもしれませんが、昔からある浴衣の染め方の話を知ったら、浴衣のことを中形というこの呼び名もぐっと近いものになりました。

型染ですから型紙を用いて染めます。
生地に防染糊を塗り、防戦した部分以外に染料を注いで柄を染めます。
別名は折付中形とか手拭中型とも呼ばれます。

布をたたみながら糊をつけていくため折付中形、また手拭の染から発達し型紙の大きさが手拭一本分ということで手拭中柄の別名があります。

型紙の長さは90センチ位です。これを木枠に入れて固定します。
木枠を白生地の上に置き型付けをします。
手拭の長さに型付けが出来たら折り返しを2回繰り返してまた糊で型付けします。

型紙を移動させながら染めるのが長板中型で、注染中型は型紙を固定しておいて布を移動させる染め方です。

型付けのあとおがくずをふりかけて糊を固定します。
折りたたんだままの布を台の上に置き上から煮沸した染料を注ぎます。

布の置かれた台を注染台といいます。
注染台の下には真空装置があり、染料を吸引します。

注染中型の長所は能率的なところですが、短所もあります。
それは折りたたんでいくため線がつながらなかったり折り返しの部分で縞が太くなったりすることです。

注染長板の染料

注染長板の染料にはナフトール染料やスレン染料というものが使われます。

ナフトール染料
「アゾイック染料」、「アゾ染料」ともいわれます。
下漬剤(染料の成分)を繊維の中にしみ込ませます。その後、もう一つの成分顕色剤で結合させアゾ色素をつくるります。

繊維の上で下漬剤と顕色剤を結合させることにより、不溶性のアゾ色素をつくるというものです。

スレン染料
ドイツでインジゴのような染料を合成しようとする中で発見された青色染料がインダンスレン染料です。
日本ではインダンスレン染料のことを、スレン染料呼んでいます。
スレン染料は木綿、麻などの植物性繊維を染色します。

注染長板は一色染めと多色染めがあります。
一枚の型紙で何色かに染める方法を「差分染」や型紙を2枚使い濃淡に染める方法を「細川染」といいます。

化学染料の発達とともに注染長板も量産されてきました。
現在もなお使われている染色技法です。

最近の浴衣はスタイリッシュで夏の重要ファッションアイテムと言っても過言ではありません。素材も色、柄もずいぶん変わってきました。
夏に向かうこの時期浴衣選びをしながら、着物の家庭着である浴衣を通してたくさんの方々に「きもの」を楽しんで頂きたいなと願います。

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